○魚沼市火災調査規程

平成16年11月1日

消防本部訓令第14号

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)の実施並びに火災予防対策及び警防対策の資料を得るため、必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設若しくはこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。

(2) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興業場、倉庫その他これらに類する施設をいう。

(3) 林野 森林(木竹が集団して生育している土地及び土地の上にある立木竹並びにこれらの土地以外で木竹の集団的な生育に供される土地)、原野(雑草及び灌木類が自然に生育している土地で人が利用しないもの)及び牧野(主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地)をいう。

(4) 車両 自動車車両(鉄道車両以外の車両で、原動機によって運行することができるもの)、鉄道車両(鉄道事業法(昭和61年法律第92号)における旅客、貨物の運送を行うための車両又はこれに類するもの)及び被けん引車をいう。

(5) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。

(6) 航空機 人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船等の機器をいう。

(7) 焼き損害 火災によって焼けた物及び熱によって破損した物等の損害をいう。

(8) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害をいう。

(9) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた焼き損害及び消火損害以外の損害をいう。

(10) 死傷者 火災現場において火災に直接起因して死亡した者(病死者を除く。)又は負傷した者をいう。ただし、負傷者が受傷後48時間以内に死亡した場合は火災による死者とし、48時間を経過して30日以内に死亡した者を30日死者とする。この場合において、消防吏員及び消防団員については、火災を覚知したときから現場を引き揚げるときまでの間に死亡した者をいう。

(11) 調査員 消防職員のうちから、火災の調査のため消防長が任命した者をいう。

(12) 関係者 法第2条第4項に規定する関係者及び火災の発見者、通報者、初期消火者その他調査に必要な者をいう。

(13) 全焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。

(14) 半焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。

(15) 部分焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のものでぼやに該当しないものをいう。

(16) ぼや 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損床面積が1平方メートル未満のもの、建物の焼き損害額が火災前の評価額の10パーセント未満であり、焼損表面積が1平方メートル未満のもの又は収容物のみ焼損したものをいう。

(17) その他この規程中における用語の意義は、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号消防庁長官通達。以下「報告要領」という。)による。

(火災の種別)

第3条 火災の種別は、次に定めるとおりとする。

(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損したものをいう。

(2) 林野火災 森林、原野又は牧野の樹木、雑草、飼料等が焼損したものをいう。

(3) 車両火災 車両又はこれらの積載物が焼損したものをいう。

(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損したものをいう。

(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損したものをいう。

(6) その他の火災 前各号以外の火災をいう。

2 火災の種別が2以上複合するときは、焼き損害額の大なるものの種別による。ただし、その態様により焼き損害額の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。

(焼損の区分)

第4条 火災による焼損の区分は、火災の種別により次に定めるところによる。

(1) 建物火災 焼き損害額の大なるものから、全焼、半焼、部分焼及びぼやに区分する。

(2) 車両、船舶及び航空機火災は、前号に準ずるものとする。

(調査の区分)

第5条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。

2 火災原因調査は、次に掲げる事項について究明するものとする。

(1) 出火前の状況

(2) 出火原因

(3) 延焼拡大の状況

(4) 初期消火等の状況

(5) 避難の状況

(6) 消防用設備等の状況

(7) 死傷者の状況

(8) その他必要な事項

3 火災損害調査は、次に掲ける事項について明らかにするために行うものとする。

(1) 焼き損害

(2) 消火損害

(3) 爆発損害

(4) 火災による死傷者

(調査責任)

第6条 消防長は、管轄区域内で発生した火災調査の責任を有する。

(体制の確立)

第7条 消防長は、調査に必要な人員及び調査用資器材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。

2 消防長は、火災の形態により調査を機動的かつ効果的に実施するため、特に必要があると認められるときは、調査本部を置くことができる。

3 前項の調査本部の組織、編成等についての必要な事項は、別に定める。

(調査の実施)

第8条 消防長は、管轄区域内に火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。

2 消防長は、調査員を指定して調査に従事させるものとする。ただし、必要があるときは、調査員以外の職員を調査に従事させることができる。

(調査の原則)

第9条 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく科学的な方法による確認と合理的な判断の上に立ち、事実の立証に努めなければならない。

(調査員の心得)

第10条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。

(1) 調査員は、調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。

(2) 調査員は、調査に際し、関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由及び権利を不等に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。

(3) 調査員は、関係のある場所に立ち入るときは、原則として、関係者の立会いを得ること。

(4) 警察機関その他の関係機関とは密接な連絡をとり、相互に協力して調査を進めること。

(火災現場の見分)

第11条 火災に出場した消防隊の隊長は、出動途上及び消火活動中における火煙の色、臭い、燃焼音、延焼経路その他見聞した関係者の言動等を現場指揮者に報告するとともに、火災原因の判定に必要と認められるものは、出火出場時における見分調書に記録しなければならない。

2 調査員は、火災現場を見分し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。この場合において、原則として関係者の立会いの下に行うものとする。

3 火災状況の見分は、その内容を明確にするため、写真により記録するよう努めるとともに、必要な写真は、写真貼付紙に貼付しておかなければならない。

4 調査員は、実況見分、関係者に対する質問等による事実等に基づき、現場の復元を行うよう努めなければならない。

(現場の保存)

第12条 消防長は、消火活動が終了したときは、所要の措置を講じた上で現場を保存しなければならない。ただし、調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。

(死傷者が生じている場合の取扱い)

第13条 消防長は、火災現場において死者を発見した場合は、所轄警察署に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。

2 調査員は、死者及び負傷者があった場合は、その内容を記録して消防長に報告しなければならない。

(質問)

第14条 調査員は、関係者に質問し、原因判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。

2 調査員は、前項により知り得た事実のうち、原因の判定に必要と認められる内容については、質問調書に記録しなければならない。この場合において、記録した内容を供述者に読み聞かせる等して、記載事項に誤りがないことを確認させ、質問調書に署名を求めるものとする。

(質問の留意事項)

第15条 調査員は、前条の質問を聴取するときは、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 強制手段を避け、場所、時間等を考慮し、あくまで任意の供述を得るようにしなければならない。

(2) 直接経験した事実の供述を得ることを原則とし、供述を誘導してはならない。

(3) 伝取に渡る供述で原因判定に必要と認める内容については、その事実を直接経験した者に質問して供述を得るようにしなけれはならない。

(4) 供述の矛盾又は変化に注意し、これをもとにして、更に質問を行うよう努めなければならない。

(少年等に関する取扱い)

第16条 少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)に関する火災の調査を行うときは、温情をもってこれに当たらなければならない。

2 少年は、実況見分の立会人としてはならない。

3 少年に対する質問は、親権者等立会人をおいて行わなければならない。

4 少年の質問調書を作成したときは、供述者及び立会人に対し署名を求めるものとする。

5 前2項から4項までの規定は、次のいずれかに該当し、かつ、消防長が必要と認めたときは、適用しないことができる。

(1) 年齢、心情その他諸般の事情を考慮して支障がないと判断される場合

(2) 立会人を置くことにより、真実の供述が得られないと判断される場合

(準用)

第17条 心神喪失又は心神耗弱の状態にある者、ろうあ者等の関係する火災についての調査は、前条の規定を準用する。

(照会)

第18条 消防長は、必要があるときは、関係機関に対し、必要な事項について通報を求めるものとする。

(資料提出等)

第19条 消防長は、調査のために必要があるときは、関係者に対し、資料の任意提出を求めることができる。この場合において、資料提出を受けるときは、提出者の承諾を得ておかなけれはならない。

(資料提出命令等)

第20条 消防長は、特に必要と認める場合は、法第34条第1項の規定により、り災物件の関係者に対し、資料の提出を命ずるものとする。

2 消防長は、関係者から前項の資料提出を受けたとき、鑑識等処分について提出者の承諸を得ておかなければならない。

(資料の保管及び返還)

第21条 消防長は、前2条の規定により資料が提出されたときは提出者に対し受領書を交付し、資料を返却するときは資料返却確認書により行うものとする。

2 消防長は、前2条の規定により提出された資料には保管票を付し、台帳に必要事項を記載し、適正に保管しなければならない。

3 前2条の規定は、資料提出者が所有権を放棄した場合は、適用しない。

(資料の鑑定)

第22条 消防長は、保管した資料について鑑定又は実験の必要があると認めたときは、公的機関に鑑定を依頼することができる。

(原因認定)

第23条 調査員は、火災の実況見分、質問その他関係資料等を総合的に検討し、火災の原因を認定するものとし、物的調査及び人的調査による資料により裏付けるものとする。

(原因認定の区分)

第24条 出火原因の認定基準は、次に定めるとおりとする。

(1) 判定 各資料の証明力を総合することにより、具体的かつ科学的にその原因が決定されるもの

(2) 推定 判定するに至らないが、当該資料を基礎として専門的立場から合理的にその原因が推測できるもの

(3) 不明 各資料の証明力が極めて少なく、これに多少の推理を加えてもその原因を合理的に推測することが困難なもの

(調査記録)

第25条 調査員は、調査に基づき、必要により次に定める書類を作成するものとする。

(1) 火災調査書

(2) 火災原因認定書

(3) 実況見分調書

(4) 出火出場時における見分調書

(5) 質問調書

(6) 死傷者調査書

(7) 損害調査書

(8) 建物損害調査書

(9) 防火管理等調査書

(10) 写真貼付紙

(11) 関係図面

(火災の報告)

第26条 調査員は、火災調査報告書に前条の規定により作成した書類を添付し、次に定めるところにより消防長に報告しなければならない。ただし、原因の認定等で関係機関と連絡調整を要する場合は、この日数を超えることができる。

(1) 建物火災のうち、全焼及び半焼 出火日から起算して50日以内

(2) その他の火災 出火日から起算して20日以内

2 前項の報告書に、必要により次に定める書類を添付するものとする。

(1) り災申告書

(2) 火災調査関係事項照会書の写し

(3) 資料提出命令書の写し

(4) 受領書

(5) 鑑識・鑑定処分承諾書

(6) 鑑定依頼書の写し

(7) 鑑定結果書

(8) その他火災原因及び損害額の認定の根拠となった資料

(火災損害調査)

第27条 調査員は、り災物件を詳細に調査し、損害の把握に努めなければならない。

2 損害額は、報告要領に基づき算出しなければならない。

(り災申告)

第28条 消防長は、損害調査の資料とするため、り災関係者に対し法第34条第1項の規定により、り災申告書の提出を求めるものとする。

(り災証明)

第29条 消防長は、り災に関係のある者(り災物件の所有者、管理者、占有者、担保権者、保険金受取人その他必要と認める者。以下「り災関係者」という。)からり災証明書の交付申請があった場合は、当該火災の焼損状況等の事実に基づき、り災証明書を交付することができる。ただし、前記の様式により難いときは、り災関係者の申請書式によることができる。

2 消防長は、前項の規定により、り災証明書をり災関係者に交付するときは、り災証明交付簿に所要事項を記載しておかなければならない。

(平25消本訓令3・一部改正)

(閲覧の禁止)

第30条 消防長は、調査関係書類を消防職員以外の者に閲覧させてはならない。

(照会等の回答)

第31条 消防長は、官公署又は弁護士会より調査事項について照会を受けたときは、その抄本を送付することができる。

(書類の保存)

第32条 火災調査関係書類は、永久に保存するものとする。

(その他)

第33条 この規程の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。

(施行期日)

1 この規程は、平成16年11月1日から施行する。

(経過措置)

2 この規程の施行の日の前日までに、解散前の火災調査規程(平成10年小出郷広域事務組合訓令第2号)の規定によりなされた手続その他の行為は、この規程の相当規定によりなされたものとみなす。

(平成25年3月29日消防本部訓令第3号)

この規程は、平成25年4月1日から施行する。

魚沼市火災調査規程

平成16年11月1日 消防本部訓令第14号

(平成25年4月1日施行)

体系情報
第12編 消防・防災/第1章 防/第2節
沿革情報
平成16年11月1日 消防本部訓令第14号
平成25年3月29日 消防本部訓令第3号