○魚沼市消防本部多数傷病者事案に係る活動要綱
平成29年10月30日
消防本部訓令第7号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 部隊の出動等(第5条―第8条)
第3章 現場活動(第9条―第14条)
第4章 雑則(第15条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は、魚沼市消防本部警防規程(平成29年魚沼市消防本部訓令第2号)第36条の規定に基づき、多数傷病者事案(自然災害、交通事故、ガス爆発又はその他の災害等により、多数の傷病者が発生し、普通救急出場では対応できない事案をいう。)を対象として、多数傷病者発生時に救急業務対応を迅速かつ適正に行うことを目的とする。
(1) DMAT 災害派遣医療チームのことをいう。
(2) 傷病者一時救出場所 自力で動くことができず消防隊、救助隊等によって救出された傷病者をひとまず集める場所をいう。傷病者集積場所ともいう。
(3) トリアージ 傷病者の適切な選別をいう。
(4) トリアージポスト 事故現場から救出された傷病者又は自力脱出した傷病者の現場救護所前のトリアージを実施する場所をいう。
(5) 現場救護所 傷病者の応急処置と再度のトリアージを実施する場所をいう。応急救護所ともいう。
(6) 現場救護所搬出エリア 搬送順位を決めるエリアをいう。搬送トリアージエリアともいう。
(7) トリアージオフィサー トリアージポストでのトリアージ判定者をいう。
(運用の基準)
第3条 この要綱の運用基準は、次のとおりとする。
(1) 同一の災害において、多数の傷病者が発生し、又は発生するおそれがあり、救急隊一隊のみでは対応できない全ての災害等に適用する場合
(2) その他小隊長、先着隊隊長、通信指令室員が必要と認める場合
(活動の原則)
第4条 多数傷病者事案に係る消防活動等については、現場管理を優先して、現場管理が適切に行われている上で傷病者の救出・救護活動に当たるとともに、救急活動については、トリアージを行い、重傷(症)者を最優先として必要な応急処置を施し、それぞれの傷病者に適応した医療機関に迅速かつ安全に搬送することを原則とし、各活動においては、医療機関、警察その他の関係機関と連絡を密にし、効率的な活動を行うこととする。
第2章 部隊の出動等
(出動区分)
第5条 通信指令室員は、通報内容又は先着隊長等の現場報告により、運用の基準に該当すると判断した場合は、別に定める「多数傷病者事案出動計画表」に基づき、所要部隊等を出動させるものとする。
(他消防機関への応援要請)
第6条 警防本部長は、他消防機関の応援が必要と認めるときは、新潟県広域消防相互応援協定及び中部消防相互応援協定に基づき、応援要請を行うものとする。
(災害派遣医療チームの派遣要請)
第7条 警防本部長は、DMATの派遣が必要と認めるときは、新潟県DMAT運営要綱(平成20年3月31日付け医第3073号新潟県福祉保健部長通知)に基づき、新潟県知事に派遣の依頼をするものとする。
2 警防本部長は、緊急やむを得ない事情により前項の依頼をする暇がないときは、指定病院の長に対して、DMATの派遣を要請するものとする。
(その他の関係機関への応援要請)
第8条 警防本部長は、その他の関係機関の応援が必要と認めるときは、当該関係機関の長に応援要請を行うものとする。
第3章 現場活動
(最先着隊による措置)
第9条 最先着隊隊長は、指揮隊等が到着するまでの間、原則次の順位に従い必要な措置を行うものとし、個別の傷病者対応は現場管理がなされた上で行うこととする。
(1) 災害対応の可能性を認識した時点で早期の一報
(2) 指揮宣言
(3) 災害現場の状況把握と報告(正確な発生場所、発生原因、大まかな傷病者数等)
(4) 安全確認、二次災害発生危険の有無の確認と報告(区域設定を含む。)
(5) 応援要請(必要とする部隊、資機材等)
(6) 後着部隊の集結場所、利用経路、退出路の確保と報告
(7) 現場指揮本部、現場救護所設置の有無の判断と報告
(現場指揮本部の設置)
第10条 警防本部長は、消防活動上、現場指揮本部の設置が必要と認めるときは、これを設置するものとする。
2 現場指揮本部を設置する場合は、次の事項に留意して災害現場で最も適した場所に設置するとともに、現場指揮本部の標識を掲げてその位置を明確にするものとする。
(1) 現場全体が把握でき、かつ、部隊の集結が容易な場所
(2) テント等を設置できる平坦なスペースで二次災害のおそれのない場所
(3) 通信障害の少ない場所
(4) 関係機関との連絡、調整が容易な場所
(5) 傷病者の移動、搬送経路等を遮らない場所
(現場救護所の設置)
第11条 警防本部長は、現場救護所は必要により設置するものとする。
2 現場救護所を設置する場合は、次の事項に留意して災害現場において最も適した場所に設置するとともに現場救護所と表示する。
(1) 現場指揮本部との連絡が容易な場所
(2) テント等を設置できる平坦なスペースで二次災害のおそれのない場所
(3) 出場隊の進入路、退出路が別系統で確保が可能な場所
(4) 群衆の混乱による活動障害がなく、通信障害の少ない場所
3 現場救護所には、トリアージ分類による傷病者の搬送位置をトリアージシート等で明示し、指定しておくものとする。
4 現場救護所の指揮者は、DMAT等が現場に出動した場合には、密接な連携の下に行動するものとする。
5 災害現場からの傷病者の動線は、一方向とする。
(傷病者一時救出場所の設置)
第12条 救助現場から救護所までの距離が長い場合、迅速な担架搬送等が困難な場合、危険区域の危険度が高い場合等は、傷病者一時救出場所を設置することができる。
2 傷病者一時救出場所を設置する場合は、次の事項に留意して設置する。
(1) 危険区域外かつ警戒区域内で、救助現場の近傍に設置する。
(2) 消防力を勘案した上で、災害状況によっては複数設置する。
(トリアージの実施等)
第13条 災害現場、傷病者一時救出場所、トリアージポスト、現場救護所、現場救護所搬出エリアで行うトリアージは、次の事項により実施するものとする。
(1) トリアージは原則二名一組で行い、判定者は原則救急救命士が行う。
(2) トリアージポストでのトリアージ担当はトリアージオフィサーが行う。
(3) 災害現場において、救出順位の決定が必要な場合や現場が広範囲に渡っているような場合は、救急隊員、救助隊員、消防隊員等もトリアージを行う。
(4) 必要により傷病者一時救出場所を設置した場合は、その場でトリアージを行い救護所までの搬送順位を決定することとし、救急隊員、消防隊員等もトリアージを行う。
(5) 現場救護所内でのトリアージは、現場救護所担当が行うが、医師等が現場にいる場合は、医師等と協議し実施者を決定する。
(6) 現場救護所搬出エリアでのトリアージは医師等が行う。医師等が現場にいない場合は、救急救命士が実施することとするが、救急救命士が不在の場合は救急隊員等が行うこととする。
(トリアージの方法等)
第14条 消防力が劣勢な場合や緊急を要する場合等は、原則START変法を用いる。
2 消防力が優勢な場合においては、トリアージポスト、現場救護所、現場救護所搬出エリア等ではPAT法を用いても良い。
3 トリアージは、必要に応じ、繰り返し行うものとする。
第4章 雑則
(委任)
第15条 この要綱の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この要綱は、平成29年11月1日から施行する。