○魚沼市職員の懲戒処分に関する指針

平成31年3月28日

訓令第16号

魚沼市職員の懲戒処分に関する指針(平成18年魚沼市訓令第30号)の全部を改正する。

第1 基本事項

1 目的

本指針は、任命権者が地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条第1項に規定する懲戒処分(以下「処分」という。)について、非違行為の代表的な事例ごとに標準的な処分量定を明確にすることにより、一層厳正かつ公正な処分を行うとともに、職員の公務員としての自覚を喚起し、非違行為の発生防止に資することを目的とする。

2 処分の種類

職員が、法令等(魚沼市行政手続条例(平成16年魚沼市条例第12号)第2条第2号にいう法令のほか、執行機関が定めた要綱、要領その他の内部的規範をいう。以下同じ。)に違反した場合、職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠った場合又は全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合のいずれかに該当するとき、任命権者は、地方公務員法第29条第1項の規定に基づき、懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。この場合において、その非違行為に対してその責任を確認させ、その将来を戒めるために行う処分で、戒告、減給、停職又は免職の処分のいずれにも該当しないときは、訓告、文書注意又は口頭注意といった人事管理上必要な措置を講ずることができる。

3 処分量定について

具体的な処分量定の決定に当たっては、次に掲げる事項を総合的に考慮し、第2及び別表に掲げる懲戒処分の対象となる非違行為及び当該非違行為に係る懲戒処分の標準的な事例(以下「標準例」という。)を参考の上、適正に判断するものとする。この場合において、標準例に掲げていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、その処分量定については標準例を参考としつつ判断するものとする。

(1) 非違行為の動機、態様及び結果

(2) 故意又は過失の度合い

(3) 非違行為を行った職員の職責

(4) 他の職員及び社会に与える影響

(5) 過去における非違行為

(6) 日頃の勤務態度や非違行為後の対応

4 報告義務

標準例に掲げるような非違行為を行った職員は、速やかに所属長に報告をしなければならないものとし、報告を受けた所属長は、速やかに総務人事課長へ報告しなければならない。この場合において、当該報告を怠った場合は、標準例に掲げる量定に加重して処分することがある。

第2 標準例

1 一般服務関係

(1) 欠勤

ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。

イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。

ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。

(2) 遅刻・早退

勤務時間の始め又は終わりに、繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。

(3) 休暇の虚偽申請

休暇について虚偽の申請を行った職員は、減給又は戒告とする。

(4) 勤務態度不良

勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、又は私的な行為を行うなどして職務を怠り、又は職務遂行に当たって上司の命令に従わない等により、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

(5) 職場内秩序を乱す行為

ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。

イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。

(6) 虚偽報告

事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。

(7) 虚偽公文書の作成

不正に虚偽の公文書を作成し、又は変造した職員は、停職又は減給とする。

(8) 違法な職員団体活動

ア 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。

イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、免職又は停職とする。

(9) 秘密の漏えい(守秘義務違反)

職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。

(10) 個人秘密情報の目的外収集

職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人情報が記録された文書等を閲覧、収集した職員は、減給又は戒告とする。

(11) 個人秘密情報の目的外利用

職務上知ることのできた個人情報を自己又は第三者の利益に供するために個人的に使用する等不正に使用した職員は、免職、停職又は減給とする。

(12) 個人情報の盗難、紛失、流出

過失により個人情報を盗まれ、紛失し、又は流出させた職員は、停職、減給又は戒告とする。

(13) 政治的目的を有する文書の配布

政治的目的を有する文書を配布した職員は、戒告とする。

(14) 営利企業従事の制限違反

任命権者の許可なく営利企業等に従事した職員は、停職、減給又は戒告とする。

(15) ハラスメント行為

ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより、強いて性的関係を結び、若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。

イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合において、わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は、免職又は停職とする。

ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。

(16) パワー・ハラスメント

他の職員に対して職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、又は職場環境を悪化させた職員は、減給又は戒告とする。この場合において、繰り返し精神的・身体的苦痛を与えたことにより、相手を精神疾患に罹患させた職員は、免職又は停職とする。

(17) その他のハラスメント

ア セクシャル・ハラスメント、パワー・ハラスメントのほか、本人の意図にかかわらず、人権と尊厳を傷つける言動で、他の職員に不利益や不快感を繰り返し与えた職員は、減給又は戒告とする。

イ セクシャル・ハラスメント、パワー・ハラスメントのほか、本人の意図にかかわらず、人権と尊厳を傷つける言動で、他の職員に不利益や不快感を繰り返し与えたことにより、相手を精神疾患に罹患させた職員は、免職又は停職とする。

(18) 収賄

職務に関して賄賂を収受、要求又は約束した職員は、免職とする。

2 公務上非行行為関係

(1) 横領

公金又は公物を横領した職員は、免職とする。

(2) 窃取

公金又は公物を窃取した職員は、免職とする。

(3) 詐取

人を欺いて公金又は公物を交付させた職員は、免職とする。

(4) 紛失

公金又は公物を紛失した職員は、戒告とする。

(5) 盗難

重大な過失により、公金又は公物の盗難に遭った職員は、戒告とする。

(6) 公物損壊

故意に職場において公物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

(7) 出火・爆発

過失により、職場において公物の出火、爆発を引き起こした職員は、戒告とする。

(8) 給与等の違法支払・不適正受給

故意に法令等に違反して給与等を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして給与等を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。

(9) 公金・公物処理不適正

自己保管中の公金の流用等公金又は公物の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。

(10) 不適切な事務処理等

故意又は重大な過失により、適切な事務処理等を怠り、又は虚偽の事務処理等を行い、又は業務遂行上必要な上司への報告を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

(11) コンピュータやネットワークの不適切使用

ア 他の職員のパスワードを使用し、又はコンピュータ・システムにおける安全上の不備を利用して不正にネットワークにアクセスした職員は、停職又は減給とする。この場合において、システム又は情報資産等の破壊若しくは改ざんを行い、又は情報を漏洩させた職員は、免職又は停職とする。

イ ネットワーク管理者又はパスワードを付与されている利用権者のパスワードを第三者に提供した職員は、停職又は減給とする。

ウ 故意にウイルス、不正プログラム等を利用してネットワークの適正な運用を妨げた職員は、停職又は減給にする。この場合において、システム又は情報資産等を損壊させた職員は、免職又は停職とする。

エ 職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

(12) ソーシャルメディア及びそれに付随するサービスの不適切使用

他の利用者若しくは第三者の権利及び財産を侵害又は侵害する恐れのある行為や誹謗中傷する行為及び根拠のない情報を掲載する行為など不適切使用をした職員は、戒告とする。

3 公務外非行関係

(1) 放火

放火をした職員は、免職とする。

(2) 殺人

人を殺した職員は、免職とする。

(3) 傷害

人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。

(4) 暴行・けんか

暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。

(5) 器物損壊

故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

(6) 横領

自己の占有する他人の物(公金及び公物を除く。)を横領した職員は、免職又は停職とする。

(7) 窃盗・強盗

ア 窃盗

他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。

イ 強盗

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。

(8) 詐欺・恐喝

人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。

(9) 賭博

ア 賭博

賭博をした職員は、減給又は戒告とする。

イ 常習賭博

常習として賭博をした職員は、停職とする。

(10) 麻薬、覚せい剤の所持又は使用

麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をした職員は、免職とする。

(11) 酩酊による粗野な言動等

酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。

(12) 強姦、強制わいせつ

暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。

(13) 淫行

18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。

(14) 痴漢行為

公共の場所又は乗物において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。

(15) ストーカー行為

ストーカー行為をした職員は、停職、減給又は戒告とする。

4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係

(1) 飲酒運転

ア 酒酔い運転をした職員は、免職又は停職とする。この場合において、人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職とする。

イ 酒気帯び運転をした職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において人を死亡させ、又は人に傷害を負わせた職員は、免職又は停職(事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、免職)とする。

ウ 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し、若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。

(2) 飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)

ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。

イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。

(3) 飲酒運転以外の交通法規違反

ア 著しい速度超過等の悪質な交通法規違反(基礎点数12点以上の場合)をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。

イ 速度超過等の交通法規違反(基礎点数6点から11点の場合)をした職員は、戒告とする。

5 管理監督者・関係職員

(1) 指導監督責任関係

ア 部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。

イ 部下職員の非行行為を知り得たにも関わらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。

(2) 関係職員

ア 非違行為をした職員に対し、当該非違行為に係る事項を教唆し、又は当該非違行為を幇助したと認められる職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。

イ 職員の非違行為を了知していたにもかかわらず、これを黙認した職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。

第3 処分の加重等について

次に掲げる個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得るものとする。

(1) 標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合

ア 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき。

イ 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき。

ウ 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき。

エ 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき。

オ 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき。

(2) 標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合

ア 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき。

イ 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき。

この指針は、平成31年4月1日から施行する。

別表(第1関係)

事由

量定

免職

停職

減給

戒告

1 一般服務関係








(1) 欠勤








ア 10日以内



イ 11日以上20日以内



ウ 21日以上



(2) 遅刻・早退




(3) 休暇の虚偽申請



(4) 勤務態度不良



(5)職場内秩序を乱す行為








ア 暴行



イ 暴言



(6) 虚偽報告



(7) 虚偽公文書の作成



(8) 違法な職員団体活動








ア 単純参加



イ あおり・そそのかし



(9) 秘密の漏えい(守秘義務違反)



(10) 個人秘密情報の目的外収集



(11) 個人秘密情報の目的外利用


(12) 個人情報の盗難、紛失、流出


(13) 政治的目的を有する文書の配布




(14) 営利企業従事の制限違反


(15) ハラスメント行為








ア 強制なわいせつ行為



イ 意に反する性的な言動の繰返し






精神疾患に罹患



ウ 意に反する性的言動



(16) パワー・ハラスメント






繰返しによる精神疾患に罹患



(17) その他のハラスメント






繰返しによる精神疾患に罹患



(18) 収賄




2 公務上非行行為関係








(1) 横領




(2) 窃取




(3) 詐取




(4) 紛失




(5) 盗難




(6) 公物損壊



(7) 出火・爆発




(8) 給与等の違法支払・不適正受給



(9) 公金・公物処理不適正



(10) 不適切な事務処理



(11) コンピューターやネットワークの不適切使用








ア 不正アクセス






情報資産の破壊、改ざん、漏えい



イ パスワードの第三者提供



ウ 不正プログラムの利用






情報資産の損壊



エ 不適切使用



(12) ソーシャルメディア等の不適切使用




3 公務外非行関係








(1) 放火




(2) 殺人




(3) 傷害



(4) 暴行・けんか



(5) 器物損壊



(6) 横領



(7) 窃盗、強盗








ア 窃盗



イ 強盗




(8) 詐欺、恐喝



(9) 賭博








ア 常習でないもの



イ 常習




(10) 麻薬、覚せい剤の所持又は使用




(11) 酩酊による粗野な言動等



(12) 強姦、強制わいせつ



(13) 淫行



(14) 痴漢行為



(15) ストーカー行為


4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係








(1) 飲酒運転








ア 酒酔い






人身事故あり




イ 酒気帯び





人身事故あり






措置義務違反あり




ウ 飲酒運転同乗、ほう助、制止義務違反

(2) 飲酒運転以外での人身事故








ア 死亡又は重篤な傷害





措置義務違反あり



イ 傷害






措置義務違反あり



(3) 飲酒運転以外の交通法規違反








ア 悪質な交通違反(基礎点数12点以上)





物損・措置義務違反あり



イ 基礎点数6点から11点の交通違反




5 管理監督者・関係職員








(1) 指導監督責任関係








ア 指導監督不適正



イ 隠ぺい、黙認



(2) 関係職員








ア 教唆・ほう助

イ 黙認

魚沼市職員の懲戒処分に関する指針

平成31年3月28日 訓令第16号

(平成31年4月1日施行)

体系情報
第5編 事/第4章 分限・懲戒
沿革情報
平成31年3月28日 訓令第16号