○魚沼市いじめ・差別等を防止して人権を守る条例

令和2年3月19日

条例第11号

日本国憲法で、全ての国民に、法の下の平等その他の基本的人権の享有を保障しているように、全ての人は、かけがえのないひとりの人間として互いに尊重されなければなりません。魚沼市では、魚沼市いじめ・差別等追放都市宣言の下、あらゆる人権課題の解決に向け、積極的な施策の展開を推進しています。しかし昨今、心の荒廃、いじめや差別等の問題が家庭、学校、地域社会など、あらゆる生活環境において、憂慮される事態となっています。

いじめや差別等は、基本的人権を脅かす行為です。この問題の背景には、家庭、学校、企業、地域社会などのそれぞれの要因が複雑に絡み合った根深いものがあり、根本的な問題解決のためには、これら全ての関係者の協力が不可欠です。

いじめや差別等のない明るく住みよい社会を目指し、市民が様々な地域活動の中で築いてきた力を結集していじめや差別等を防止するため、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、いじめ・差別等の防止に関する基本理念を定め、市、市民、学校、社会福祉施設、企業及び公的機関の責務並びに地域社会の役割を明らかにするとともに、市の基本となる施策及びその推進体制の整備等に総合的かつ計画的に取り組むことにより、いじめ・差別等を防止して人権を守り明るく住みよい社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) いじめ・差別等 言葉、文書(電子媒体を含む。)、暴力等による心理的及び物理的な攻撃、無視等による精神的な苦痛を与えるもの及び偏見や先入観をもとに、特定の人々に対する不利益・不平等な扱い並びに雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)、児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号)、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(平成28年法律第68号)及び部落差別の解消の推進に関する法律(平成28年法律第109号)に規定する虐待、暴力、差別等をいう。

(2) 市民 市内に住所又は生活若しくは活動の拠点を置く者及び一時的に市内に滞在する者をいう。

(3) 関係機関 警察署、児童相談所等の相談協力機関をいう。

(基本理念)

第3条 全ての市民は、何人に対しても、いじめ・差別等をしてはならない。

2 いじめ・差別等の防止の推進は、基本的人権を侵害する行為を許さない明るく住みよい社会を目指すことを旨として、行われなければならない。

3 いじめ・差別等のない明るく住みよい社会の実現に当たっては、市、市民、学校、社会福祉施設、企業、公的機関及び地域社会がそれぞれの責務及び役割を自覚するものとする。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、市民、学校、社会福祉施設、企業、公的機関、関係団体及び地域社会と連携するとともに協力して、いじめ・差別等の防止に関する施策を総合的に実施しなければならない。

2 市は、いじめ・差別等に関する通告、通報、相談等を受けた場合には、必要に応じて関係機関と連携し、問題の解決に当たらなければならない。

3 市は、学校、社会福祉施設、企業、公的機関、関係団体及び地域社会におけるいじめ・差別等の防止活動について、必要な支援を行うとともに、活動の促進に努めなければならない。

(市民の責務)

第5条 全ての市民は、基本理念にのっとり、市、学校、社会福祉施設、企業、公的機関、関係団体及び地域社会が実施するいじめ・差別等の防止に向けた事業、活動等に積極的に協力するよう努めなければならない。

2 全ての市民は、いじめ・差別等を発見した場合又は知った場合は、速やかに市、学校又は関係機関に情報を提供するものとする。ただし、法律に定めのある虐待、暴力、差別等にあっては、関係法令に基づき通告し、又は通報しなければならない。

(学校及び社会福祉施設の責務)

第6条 学校及び社会福祉施設は、いじめ・差別等の防止に向け、日常の取組、個別の対応等により、互いの権利の尊重に努めなければならない。

2 学校及び社会福祉施設において、いじめ・差別等を把握した場合は、その解決に向け速やかに対策を講じるとともに、学校及び社会福祉施設だけで対応できない事案にあっては、市及び関係機関、関係団体と互いに連携し、事案の早期解決に向けた措置を講じなければならない。この場合において、法律に定めのある虐待、暴力、差別等にあっては、関係法令に基づき通告し、又は通報しなければならない。

3 学校及び社会福祉施設は、市、関係団体、地域社会等が実施するいじめ・差別等の防止に向けた活動に積極的に協力しなければならない。

(企業及び公的機関の責務)

第7条 企業及び公的機関は、事業活動等を通じて地域社会に貢献すべき社会的使命を有していることを認識し、経営者、管理者、従業員及び職員が互いに連携するとともに協力して、いじめ・差別等のない職場づくりに努めなければならない。

2 企業及び公的機関は、職場内でいじめ・差別等を把握した場合には、速やかにいじめ・差別等の解決に向けた対策を講じなければならない。

3 企業及び公的機関は、市、学校、社会福祉施設、関係団体及び地域社会が実施するいじめ・差別等の防止に向けた活動に協力するよう努めなければならない。

(地域社会の役割)

第8条 地域社会及びその構成員は、様々な地域活動で得た人と人とのつながりを活かし、互いに助け合い協力して、いじめ・差別等の防止に向けた活動への役割を果たすとともに、市、学校又は関係機関への情報の提供に努めるものとする。

2 地域社会及びその構成員は、様々な地域活動の中で、いじめ・差別等のない明るく住みよい社会づくりに寄与するよう努めるものとする。

(計画の策定)

第9条 市は、基本理念にのっとり、いじめ・差別等のない明るく住みよい社会の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、当該施策に関する計画を策定するものとする。

(いじめ・差別等の相談窓口の設置)

第10条 市は、市民、学校、社会福祉施設、企業、公的機関、関係団体及び地域社会からのいじめ・差別等の相談に応じるため、相談窓口を設置するものとする。

(啓発活動)

第11条 市は、いじめ・差別等の防止に関する意識の高揚と普及啓発を図るため、あらゆる機会を捉えて啓発活動に努めるものとする。

(関係機関等との連携)

第12条 市は、いじめ・差別等の防止及び解決に向け、情報の共有と迅速な対応を図るため、国、県、関係機関及び関係団体との連携の強化に努めるものとする。

(推進体制の整備)

第13条 市は、いじめ・差別等の防止に関する施策を総合的かつ効果的に実施するため、必要な推進体制を整備するものとする。

(個人情報に対する取扱い)

第14条 市は、この条例の施行に当たっては、知り得た個人情報の保護及び取扱いに万全を期するものとし、当該個人情報を業務の遂行以外に用いてはならない。

2 いじめ・差別等に関する通告、通報、相談等に関係した者は、正当な理由なく、知り得た個人情報を他人に漏らしてはならない。

3 市、学校又は関係機関は、第5条第2項の規定により通告、通報、相談等した市民を保護するため、当該市民に係る個人情報の取扱いに万全を期さなければならない。

(委任)

第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和2年4月1日から施行する。

魚沼市いじめ・差別等を防止して人権を守る条例

令和2年3月19日 条例第11号

(令和2年4月1日施行)