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魚沼のオヤカタ論。―株式会社星左官店編―
皆さんは何を基準に「仕事」を探しますか。
やりがい、憧れ、職場環境など十人十色の基準があると思います。
『魚沼のオヤカタ論。』では、市内事業者のTop=オヤカタの、仕事への姿勢や熱い想い、きれいごとだけではない現場の話などを伝えていきます。
鏝(こて)を武器に32年。
「馬鹿であれ!」という仕事哲学を胸に、オヤカタは今日も現場に立つ。
星左官店の存在を知ったのは、同社へ就職した知人のSNS投稿がきっかけでした。
「左官屋さん=壁を塗る人」という仕事のイメージしか持ち合わせていませんでしたが、魚沼市が発行する「企業ガイドブック」や同店のホームページを見て知ったのは、コンクリートでつくられた温泉施設の浴槽補修や土間コンクリートの下地をつくる左官工事の他、玄関やポーチなどにタイルを張るタイル工事、舗装用ブロックでできた道の改修するブロック・レンガ積み工事など「左官無くして建物は完成しない」と思えるほど「あれも左官の仕事だったの!?」と驚くものばかり。
左官業の奥深さに強く惹かれ、15歳から左官一筋32年の井口専務にお話を伺いました。

株式会社星左官店 専務取締役 井口 真介 氏
会社の成り立ちについて教えてください
当社は、創業者の星英一が約60年前に一人親方の左官業として立ち上げた会社です。家族代々受け継がれてきた技術を基盤に、創業当初は星が一人で現場を回りながら仕事を続けていました。やがて親戚や近所の方々が加わり、共に仕事をする仲間が増えていくことで、現在の会社の形へと発展していきました。
井口専務の経歴を教えてください
私は左官職人になって現在32年目です。中学校を卒業する際、恩師から「手先が器用だから、ここに行ってみないか」と紹介されたのが星左官店でした。
一度は星左官店を辞めて上京し、左官に近い仕事に携わっていた時期もありましたが、4年ほどで挫折してしまい(笑)それからは星左官店一筋で歩んできました。
左官業の魅力を教えてください
自分の手で思い描いた形を造ったり、でこぼこの壁や床を平らに塗れた時の達成感でしょうか。
粉状の材料を自分の手で練り上げ、鏝で塗り、少しずつ形が生まれていく…。その工程そのものが面白いんです!
仕上がりがビシッと格好よく決まった瞬間はとても気持ちがよく、何度味わっても楽しいものであり、毎回「やってよかった」と思える仕事です!

■河の法面部分 コンクリート金鏝仕上げ作業
仕事をする上で大変なことを教えてください
天候や気温に大きく左右されることです。
材料の乾き具合は気温によって変わります。例えば、暑い時は材料が早く乾くので、素早く作業したり、人数を増やして作業に対応します。逆に寒い時は材料がなかなか乾かないので、乾く時間を計算した上で仕事をしなければなりません。常に逆算しながら仕事をする点が大変だと感じています。
また、これは大変「だった」ことですが、私が見習いの頃、鏝や身体の使い方がわからず、腕の力だけを使って壁や床を塗っていたので、すぐに疲れてしまっていました。ところが、先輩方は朝から晩まで元気に塗っている。よく観察してみると(右利きであれば)右足に体重を乗せて、身体全体を使って塗っていることに気づきました。
それからは先輩方の技を真似していくうちに、気づけば疲れずにいくらでも塗ることができるようになっていました。その領域に達するまでが、本当に大変でした。

■切妻勾配屋根 コンクリート均し作業
どのような方に向いている仕事だと思いますか
体力に自信のある方、粘り強く取り組める方、ものづくりに興味のある方、コミュニケーションを大事にできる方が左官に向いていると思います。
左官は「逆算」で進める仕事でもあります。将来的には、先を見通し、作業工程を逆算して組み立てられる人材へと成長してほしいと考えています。
あとは、仕事道具が好きな方でしょうか。
鏝ひとつとっても種類が豊富で、コレクター気質のある私としては、男心をくすぐられる魅力があります。

■コンクリートポンプからの材料取り作業

■鳥屋野交通公園 ありじごく 人研ぎ仕上げ作業

■工場 フェロコン 機械鏝作業
資格取得の補助や資格保持者への手当があれば教えてください
資格がなくても従事できますが、現場代理人ができる1級左官技能士を皆に目指してもらいます。
他にも高所作業車などの資格、足場点検実務者研修などの受講等、仕事に関する資格取得のための費用は弊社が負担します。学んだことは自身の強みとなり、できる仕事の幅も広がります。資格手当も支給されるので、積極的に資格取得や研修を受講してほしいと思っています。
会社のPRをお願いします
左官の廃業を耳にすることも増えましたが、弊社には現在11名の職人が在席しています。
若者が多く、女性の職人もいて、それぞれの目標に向かって日々力をつけています。
年齢幅も25歳から76歳までと、動くことができれば何歳までも働くことができますし、先輩から見て、聞いて学ぶことができる良い環境だと思います。若者にはつらい思いをしてほしくないですからね。
地元に根付いて約60年。新潟県の左官屋と言えば星左官店と言われるようにしていきます!

―ありがとうございました。
初めて星左官店のホームページを拝見した時、井口専務の挨拶文冒頭にあった「馬鹿であれ!」という言葉に衝撃を受けました。
「馬鹿であれ!」とは何事かと思って読み進めると、馬鹿みたいにがむしゃらに仕事をすること、馬鹿真面目にひとつのことに取り組む姿勢を、左官職人の矜持として説いていました。
井口専務から左官の仕事や道具の話を伺っていると、笑顔でとても楽しそうに話をしてくださるので、心から左官業を愛していて、井口専務の言葉をお借りするなら「左官馬鹿」なのだなと思いました。
勉強が得意ではなくても、コミュニケーションが苦手でも、先を見通すスキルを磨いて道具を愛し、左官の仕事を面白がる気持ちがあれば、立派な「左官馬鹿」になれる―
貴重な技術を身に付け、自分の仕事を形として後世に残せる左官業。手に職を持ちたいと考えている方は、ぜひ同社の門を叩いてみてはいかがでしょうか。
【会社情報】
株式会社星左官店
新潟県魚沼市新保新田184 番地3
Tel:025-792-0193
メールでのお問い合わせはこちらをクリック<外部リンク>
会社概要はこちらをクリック<外部リンク>(株式会社星左官店HP)
【事業内容】
左官工事業
タイル・レンガ・ブロック工事業


