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てくてく魚沼暮らし 〜 新潟県立浅草山麓エコ・ミュージアムに行ってみた
6月初旬、地元紙を眺めていると「浅草山麓の自然を楽しむエコ・ミュージアムが開園」の文字が目に飛び込んできました。
10年ほど前に数回訪れて以来、足が遠のいていたエコ・ミュージアムがなぜか気になり、ホームページをのぞいてみると、ブナの木々が新緑をまとい、里ではすでに咲き終わった春の草花が見頃を迎えているとの情報がありました。魚沼の遅い春に触れられると知り、「この遅い春を多くの方に楽しんでいただきたい」と思い、早速取材に伺いました。
新潟県立浅草山麓エコ・ミュージアムを訪ねる。
お弁当と飲み物を持ち、車のガソリンを満タンにして準備万端。
目的地を目指して国道252号を走っていくと、「新潟県立浅草山麓エコ・ミュージアムまで○○km」の看板がところどころに現れます。
広神地域では「27km」
守門地域では「19km」
入広瀬地域では「13km」
と、距離をカウントダウンしながらJR大白川駅を過ぎるとすぐ、大白川本村へ向かう県道の分岐があるので、ここを左折します。
山の神トンネルを抜けた先に、「エコ・ミュージアムまで6km」の看板を発見して、
「あと少し!」と思いながら、魚沼の春の風物詩「雪流れ」が見られる浅草大橋を通過。
緑も濃くなってきて、ワクワクしながら車を走らせていると……
「あれ?右折する場所を過ぎたかな?」とだんだん不安になってきました。
左手に渓谷が見え始め、風は爽やか。里では咲き終わった花々が出迎えてくれる景色に心が和む一方で、「こんなに遠かったっけ?6kmってどのくらい?」と不安は尽きません。
エコ・ミュージアムへ電話してみようと思っても、携帯の電波は圏外。
もう少し走って何もなければ引き返そうと思ったところで、ようやくエコ・ミュージアムの入口を発見!
途中から道が細くなり、このまま進んで大丈夫なのか少し不安になりますが、慌てずそのまま進んでください。
初めて訪れる方は、住所でカーナビを利用すると安心です。
エコ・ミュージアムセンター(以下エコ・センター)を訪ねると、職員の星野隆さんと関光子さんが笑顔で迎えてくださり、初めに館内を案内していただきました。
「ようこそ入広瀬の森へ」と書かれた展示スペースを通ると、かわいらしい鳥のさえずりが聞こえてきました。
天井を仰ぐと、人感センサーに反応して鳥の絵が光り、鳴き声の主を教えてくれる仕掛けになっていました。
天候に恵まれたこともあり、平日でしたがご夫婦や親子連れでにぎわっていました。
子どもが大きな木を模して作られた造形物の下にもぐりこみ、楽しそうに学んでいます。
子どもたちが思わず触れてみたくなる仕掛けが随所にあり、親子で楽しみながら自然について学ぶことができます。
近年、クマの出没が身近な問題となる中、エコ・センターでは、クマの生態だけでなく、ミュージアムの所在地である大白川地区の人々と山との関わりを知ることもできます。
大白川地区には熊狩りの歴史と文化があり、一昨年に開催された『「特別展示・里山のツキノワグマ」昭和時代熊狩りの記録展』で紹介された、昭和40年頃の熊狩りの様子を記録した貴重な映像を観ることができます。
ダイジェスト編(7分)を拝見し、熊狩りが命がけであること、山の恵みを山の神に感謝する心、そして誇らしげな男性たちの晴れやかな表情から、山に生きる人々の強さを改めて感じることができました。
続いて、星野さんからエコ・フィールドを案内していただきました。
ウッドチップ敷きの散策路はふかふかで、足にやさしい道が続いていました。
ブナ林の中に入ると、涼しい空気と木漏れ日がやさしく包んでくれました。
里では見頃を終えた春の花々が、ここではまだ咲いていることに不思議な感覚を抱きながら、園内を進みました。
まず目に入ったのは、ホウチャクソウ。
園内の看板には、花の形が古寺の軒先に吊るす宝鐸(ほうちゃく)に似ていることから名づけられたと書かれていました。説明書きには「花期は4~5月」とありましたが、6月に咲いているものに出会えると、少し得した気分になります。
毎年の大雪で根や幹の途中が曲がった木々
エコ・フィールドから望める浅草岳には残雪が残っています。
バリアフリー木道は、車いすやベビーカーでも安心して散策することができます。
その木道を抜けると、ヤドリギ広場に到着しました。
ブナの枝先をよく観察してみると、ヤドリギを見つけることができます。
ブナに囲まれた広場にはテーブルとイスがあるので、お弁当を食べるのにもうってつけですよ。
秋の紅葉も見に来たくなるような説明書きが添えられていました。
今年はブナの実が当たり年のようです。
ケナシヤブデマリが彩る、バリアフリー木道
花や植物を愛でながら歩いていると、急な階段が出現。
沢が近づいてきました。
沢へ下りると、モミジの滝が姿を見せました。
小さな滝のそばには涼やかな空気が漂い、暑さも忘れてその場で一休みしてしまいました。
標高の高い場所にあるエコ・フィールドは、真夏でも気温が30度を上回ることがほとんどないそうなので、暑い日のお出かけ先としてもぴったりです。
こいのぼりの矢車に似ていることから名づけられたヤグルマソウ。
わさわさと元気に育っていました。
再び沢を上り、うるい谷の橋を渡りました。
しばらく歩くと、足元にギンリョウソウが咲いていました。
「銀竜草」と書く名の通り、半透明で美しい植物です。
「葉緑素を持たない植物なんですよ」という星野さんの説明を受け、小学生の頃、理科の授業で葉緑素について勉強したことを思い出しました。
散策路を歩きながら、星野さんから「今、何か鳴いているのが分かりますか?」と問いかけられました。
「セミのような鳴き声が聞こえる気がします。」と答えると、
星野さんは「エゾハルゼミですよ。」と教えてくれました。
春に鳴くセミがいるとは知らなかったので、とても新鮮な体験をしました。
うつむくように可憐に咲く、自生のミヤマオダマキ
個人的に大好きなタニウツギ。
今年もう一度見ることができ、うれしくなりました。
ミズバショウ広場の先にある橋のたもとでは、透明度の高い川の中に、イワナの姿を見つけました。
驚かせないようにそっと近づき、しっぽだけを撮影しました。
みなさんもぜひ見つけてみてください。
林を抜けると、観察小屋に到着しました。
散策の途中で休憩したり、小屋の中からバードウォッチングを楽しめます。
ふたたび散策路に戻ってトンボ池を目指します。
トンボ池という名前ですが、この時期だけに見られる特別なものがあります。
それがこちら!
写真から探すのは至難の業ですね(笑)
近くにはこんな看板が。
Q.木の枝のアワのかたまりはなんだろう?
A.モリアオガエルの卵塊です!
モリアオガエルの産卵場所になっているトンボ池。秋になると、その名の通り多くのトンボが飛び交うそうです。
さて、最終目的地は「ぶなじいさんの森」。
ほとんどが二次林であるブナ林の中で、伐採を免れた園内最大のブナを見に向かいました。
空を仰ぐと、枝葉の間から差し込む木漏れ日が後光のように見え、とても神秘的でした。
このような場にいて、ふと「平和だなぁ」という言葉が自然と口をついて出ました。
普段の生活の中で「幸せだな」「楽しいな」と感じることはあっても、「平和だな」と思うことはなかなかありません。
忙しい毎日の中で、忘れていた感覚がよみがえる。そんな気持ちにさせられたエコ・フィールドツアーでした。
かわいいお友達にも出会えました
星野さんの案内で園内を巡ると、ひとりで歩けば通り過ぎてしまいそうな草花や鳴き声にも出会うことができました。
その一つ一つを通して、エコ・ミュージアムに息づく動植物の存在をより身近に感じ、魚沼市の自然の素晴らしさを改めて知ることができました。
そこで、改めてエコ・ミュージアムの魅力を星野さんに伺いました。
エコ・フィールドでは、どのような動植物が観察できますか
先ほどの散策で確認できただけでも、カナヘビやイワナ、モリアオガエルの卵塊、おたまじゃくしがいましたし、エゾハルゼミの鳴き声も聞こえました。
エコ・フィールドでは、これまでに152種の動物と昆虫、53種の鳥類、172種の植物が確認されています。今回は鳥の姿を見られませんでしたが、エナガ、シジュウカラ、ホオジロ、ウグイスなどがいます。
エコ・ミュージアムの楽しみ方を教えてください
広大なエコ・フィールドには地形を活かしたコースがたくさんあり、樹木や植物の丁寧な説明書きが設置されています。
それらを見ながら園内散策を楽しむこともできますが、スタッフによる園内の案内も可能です。(案内は要予約)
また、エコ・センターには入広瀬や大白川にちなんだ展示物や動植物の模型、図鑑があるので、自然学習を行うのに適した環境です。
自然の素材を活かした工作遊びは予約なしで体験できるので、ぜひ来館の思い出にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
エコ・ミュージアムで動植物を身近に感じる時間をお楽しみください。
―ありがとうございました
忙しい毎日の中では、気づかず通り過ぎてしまいそうな草花や鳴き声に足を止め、大先輩のぶなじいさんを仰ぎ見て「平和だなぁ」と思う。そんな時間が、ここにはありました。
お弁当と飲み物を持って少し日常を離れ、「平和だなぁ」と思える時間と、浅草山麓の大自然に会いに出かけてみてはいかがでしょうか。
○Information○
新潟県立浅草山麓エコ・ミュージアム
住所:〒946-0303 新潟県魚沼市大白川字浅草山1501
電話:025-793-7480(魚沼市教育委員会事務局 生涯学習課)
開園時期:5月下旬から11月上旬
※積雪状況などにより変動します。
利用時間:午前9時~午後4時30分まで
休館日:開園期間中は無休
※天候などにより、やむを得ず休園する場合があります。
利用料金:無料
公式サイト:新潟県立浅草山麓エコ・ミュージアムホームページ<外部リンク>
・ガイドの利用を希望する場合は、複数名のグループで事前予約が必要です。
・周辺はクマの生息地に近いため、散策時は十分ご注意ください。エコ・センターでは熊鈴を無料で借りることができます。
・車いす・ベビーカーの貸し出しがあります。
・カーナビは住所で検索してください。電話番号で検索すると、エコ・ミュージアム事務局のある、魚沼市役所本庁舎が案内されます。


